コントラバス左手と背中の今後の課題
(こちらの記事は、2016年11月まで運用していた旧bodytuneサイトのブログ記事を転載したものです)
前回は、押弦と背中の関係について考察してきましたが、今日はこのやり方を使ってみて新たに生じた疑問、課題について記してみます。
◆広背筋の疲れ
まだ体の使い方を変えてから間がないので何とも言えませんが、今後、様子を見て、さらにひどい筋肉痛として残るようならどこか他の部分でやるべき仕事を代償している可能性があります。広背筋が骨盤上部にもついていることから、骨盤と脊柱を着いている他の筋肉や脊柱、骨盤と足をつなぐ筋肉に何らかの関係性が予想されますが、さらに探求が必要です。あるいは、もしかしたら、適切なタイミングでのオン・オフが可能なのであれば、実は大・小菱形筋と僧帽筋がもっと働いていい、ということもありえます。
◆前腕の肘側の疲れ
背中から引っ張ることを意識して演奏すると前腕の肘側が疲れやすくなります。この辺りは指を伸展させる筋肉の付着部です。今までは握っていたので基本的に屈曲とその解除だけで押弦していたのが、背中が参加することによって、指が指板上に留まっているための屈曲の力がデフォルトでかかり続けることになり、その指をわざわざ伸展させることで運指するようになったようです。要するに屈筋と伸筋を同時に使っているわけで、これは疲れるはずです。これもやはり体の使い方を変えてから間がないので、適切なタイミングと必要十分な力の量が分かっていないことが原因かも知れません。
◆体の他の部分との関係性
コントラバスはその大きさゆえに演奏のためにかなり体全体が参加する必要がある楽器です。例えば、ボーイングを担う右腕は、出したい音によって指板にかかるくらい上に弓を持ってくることもあれば駒寄りを弾くためにかなり下に持ってくることもあります。加えて、先弓か元弓かでも右腕の位置関係が変わってきます。右腕を自由に動かそうとすると腕の一番の付け根となっている胸鎖関節、上腕の起点となる肩甲上腕関節の位置や可動性が非常に重要です。また、大きさゆえにそもそもの腕の起点自体の位置を動かす必要も生じます。そうなると、右腕の仕事のために体幹が参加せざるを得ず、脊椎の曲がり方が今度は左腕にも影響を及ぼす、さらにそうした動きをする上半身の体重を支えるための足の動きが必要になってくる、といった具合です。したがって、左手の動きを改善しようと思ったら、それ以外の部分との関係性にも充分に意を払わないといけません。
上の画像はあんまりうまい絵ではないですが、まあ言わんとすることは分かるかと思います。曲に取り組むというのは、その音楽の流れをもっとも良く表現できるような体全体の動きの流れを試行錯誤して追求するようなところがあります。実は初心者がもっとも手こずるのは弓とか指とかいう部分よりは、それらがうまく動かせるような体の持って行きかた、体のバランスの取り方であったりするのですが、残念ながら、教則本にはこういうところはあまり書かれていません(というかバリエーションがありすぎて書き切れない)。
今月で、僕がコントラバスを始めてから丸6年がたちました。中高と部活でやっていたとしたら、ようやく高卒レベルでしょうか。部活と違って毎日練習できるわけではないので、実際にはもうちょっと落ちますが、そこは知性?でカバーしてこれからも楽しみながらベースの弾き方を発見します。
2016年、東京都練馬区の江古田にて音楽家専門の鍼灸治療院を始める。
2021年、東京都品川区の鍼灸院「はりきゅうルーム カポス」に移籍。音楽家専門の鍼灸を開拓し続ける。
はり師|きゅう師|アレクサンダー・テクニーク教師
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