第九の裏技
(こちらの記事は、2016年11月まで運用していた旧bodytuneサイトのブログ記事を転載したものです)
先日、所属する荒川区民交響楽団で第九の本番に出ました。クラシック音楽好きなら誰でも知っているベートーベンの交響曲第九番。日本ではプロアマ問わずオーケストラに入っていたら毎年演奏するほどポピュラーな曲。アマチュアでもさんざん取り上げるんだから簡単なんでしょと思いきや、これが激ムズです。吹奏楽で言うと、スミスの華麗なる舞曲、フェスティバル・バリエーションズ級です。今回は、本番直前にコントラバスの師匠から教えてもらった裏技について。
◆一楽章
Oからピチカートがずっと続き、Pの直前でソの音をはじいてから弓をアルコに持ち変えて2オクターブ以上離れた下のファまで飛ばなければなりません。けっこうテンポが速いので弓の持ち変えが難しい場面です。間に合わない場合は、ソを一番線のフラジオで取って、はじくのは左手の人差し指か親指でやると、その間右手がフリーになり、弓を持ち変えて四番線に置く準備に余裕ができます。ただし、ソのフラジオをミスって一番線のただの開放音が出ると、動揺して次のファも出損なうというリスクもあります。リスクを冒して全面解決を狙うか、または、二兎を追うものは一兎も得ずに終わるか。いや、普通に素早く持ち変える練習するべきなんですけどね…
◆二楽章
楽譜で見ると、なんだかオクターブばっかりで難しそうです。でも、最初のラの音を二番線のフラジオで取ると、開放弦と第4ポジションだけであんまり苦労せずに弾けるという…
◆三楽章
特に秘策なし。でも、テンポ遅すぎて迷子になっていつも気がつくと5小節くらいずれてるんですが、、、と相談したら、「スコアで勉強して、ちゃんと数えてください」
おっしゃるとおりでございます。
◆四楽章
多くの奏者が遭難する四楽章。プロでもきっちりやるのは難しいそうです。806からのところもオクターブと細かい動きが激しいですが、第4ポジションで取れる音は取っていくと左手の難易度は下がります。その代わり、ほぼ一音ずつ移弦することになるので、右手が大変。まあ、これは練習あるのみ。弾き真似で乗り切る場合でも、左手は第4ポジションで弓は移弦しまくってるとそれらしく見えます。これ、今回使ってみましたがけっこうお勧めです。ただし、フラジオが鳴りやすいので、間違っても弓を弦にかすらせてヒュン!とか鳴らないように要注意。ちなみに808の下のソの音(赤丸の音)は某プロオケでも、オクターブ上の開放弦でやってるとかやってないとか。もうひと声いって、オクターブで同じ音が続くところ(黄色の四角で囲んだところ)は思い切って全部同音にできればずっと楽なんだけど…だめ?
903からの速いところ、ここ弾ける人は本当に尊敬しますが、906のソの音以降909までは、親指ポジションで取ると一番線から三番線まで使って左手は単一ポジションで全部取れます。と言いつつ、僕は親指ポジション使いこなせないので、それらしい左手の形作って、ひたすら弾き真似。そしたら、一人だけ早くマエストーゾにつっこんでしまったという…実際に弦をこすった場合の物理抵抗を計算に入れて弾き真似すべしという反省点が残りました。
とここまで、弾ける人にはあきれられそうなことを書いてきましたが、やはり大事なことは自信をもって堂々とやることです。今回は僕の実力のほどを知るかみさんが聴きにきたのですが、ボディチャンスで教えられるように「弾き真似ができるために、頭が動けて、体全体がそれについてきて」を実践したら、見た目にはすごく上手そうでどこが弾き真似だか分からなかったそうです。アマチュアの演奏会では、全ての箇所を弾けるのはむしろ稀です。弾けないなら弾けないで、弾き真似で対処するなら最初から腹を決めてそのように体を動かすと動作に迷いが生じません。その結果、ボーイングが暴れて周囲から浮くようなこともなく、確信を持って演奏しているという印象を与えることができ、お客さんにもより満足いただけた?かな。
でも、来年は全部弾けるように頑張ります!
2016年、東京都練馬区の江古田にて音楽家専門の鍼灸治療院を始める。
2021年、東京都品川区の鍼灸院「はりきゅうルーム カポス」に移籍。音楽家専門の鍼灸を開拓し続ける。
はり師|きゅう師|アレクサンダー・テクニーク教師
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