コントラバス演奏における左手の親指
(こちらの記事は、2016年11月まで運用していた旧bodytuneサイトのブログ記事を転載したものです)
5月になり、鍼灸・マッサージの学校もだいぶスピードが上がってきました。特にマッサージの関連で、親指による指圧をしこたまやっているので、指の関節が痛くなってしまいました。この状態でコントラバスを弾くとネックの裏側に当てる左手の親指が痛くてまず力が入りません。こうなると、押弦の圧力を楽器裏板のなで肩部分が自分の体に当たるところ(骨盤の内側など、僕の場合は座奏でかなり抱え込む構えなので腹や左足内腿あたり)で受けざるをえないのですが、これが疲れること疲れること。コントラバスの師匠の指導では、押弦による圧力は奏者の体幹で受けるべきであり、親指をネックの裏側に押し付けるものではないとされています。頭では分かっているつもりですが、悪い癖というのはなかなか抜けないですね。今回、痛くて弾けなくなったことであらためて自分の奏法のまずさに気づくことができました。怪我の功名です。
功名ついでに今日は1つ発見がありました。譜例は今、取り組んでいるヴェルディのオペラ「シモン・ボッカネグラ」前奏曲の一部です。テンポは四分音符120でフォルテ1つ。上段の算用数字が左手の運指、下段のローマ数字は弾く弦の番号です。
これまで練習していて、2小節目後半でIII→II→IIIと移弦するあたりがどうも右手の運弓がばたついてしっかりした発音ができず悩んでいました。そこで今日は、左手の運指と右手の弓がうまくシンクロしていないのか、移弦がうまく行っていないのか、はたまたボディ・チャンスで習っている頭と脊椎の協調作用の問題なのか、骨盤底筋群の使い方にヒントがあるのか(実際、これは押弦の圧力を受ける上でキーになっていますが)などなど考えつつ、フォルテをピアノにしてみたり、遅く弾いてみたりして何か違いが出るかしばし観察してみました。
どうも2小節目のII弦で運指が0(開放弦)になるあたりで楽器が揺れるなあ、と思った瞬間に突然のひらめき。実は0のところで左手親指でネックを押し上げていたのです。その理由も明白で、直前の2の指を上に上げて開放弦の状態にするためにわざわざ手首ごと上に動かしていたのでした。これでは楽器が揺れて弓がばたつくわけです。もちろん、これだけで完全に理想的なフレーズになったわけではありませんが、1つ近づくことができました。
「コントラバス 左手 親指」とか「コントラバス 左手 手首」とかで検索してもこんなの出てこないから皆さんこの種の苦労はないのかなあ?個人的にはすごい発見をした気分なんですが。。。今後の私的演奏ティップスとして、左手の親指の誤用として開放弦での押し上げ(より正確には手首の誤用でしょうか)を加えることとします。
2016年、東京都練馬区の江古田にて音楽家専門の鍼灸治療院を始める。
2021年、東京都品川区の鍼灸院「はりきゅうルーム カポス」に移籍。音楽家専門の鍼灸を開拓し続ける。
はり師|きゅう師|アレクサンダー・テクニーク教師
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