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金管楽器奏者のアンブシュアの調整を考える

" 管楽器奏者のアンブシュア不調 "

2021年2月13日

金管楽器奏者のアンブシュア不調で、いったん音が鳴ってから消えてしまうケースと、最初から音が鳴らないことで悩まれるケースがあります。

 

結局どちらも音が出ないので問題としては同じものととらえがちですが、この2つは別のメカニズムによるのかも知れないと思うことがありましたので考察と報告です。

 

もともと問題なく出せていた高音域が出なくなったとのお悩みでいらしたホルン奏者の方。

 

実際に演奏してもらうと、ハイトーンに当たって瞬間鳴りかけてから下顎が揺れ始め、息のシューという音になるという現象が起こっています。

 

口輪筋などの表情筋は機能しているが、下顎が揺れてアパチュアが開くことで唇の振動がなくなり音が消えていると考えました。

 

触れてみると翳風(えいふう)という顎関節のツボに著しい緊張があります。

 

自覚的には顎関節に痛みはないし顎関節症などの既往もありません。

 

しかし初手としては顎関節関連の緊張をゆるめてみて変化を確認することにしました。

 

使ったのは手首と背中と仙骨のツボ。

 

再度楽器を吹いてもらうと高音域を鳴らし続けられるようになりました。

 

顎の揺れはまだ残っていますがさっきよりもおさまっています。

 

このことから、いったん音が鳴ってから消えてしまうケースでは表情筋よりもむしろ顎関節の問題が大きいのかも知れないと思いました。

 

逆に最初から音が鳴らない場合には唇の閉じ合わせに問題のあるケースが多いので、こちらはむしろ表情筋の機能を確認すべきと考えられます。

 

こんなにきれいに分かれることは滅多になく実際にはこれらのミックスがほとんどです。

 

また息と舌の要素がさらに重なるので状況はもっと複雑になるのが普通ですが、この時のケースは顎関節単独のアプローチで症状の大部分が改善した珍しい例かと思います。

 

カポスには専用の音楽室があります。

 

このような詳細な観察と分析に基づいてアプローチを検討するために、この音楽室の役割ははかり知れません。

 

音楽家の患者さんにとっても実際に演奏して前後比較できるので納得感が高いようです。

 

逆に言うとなにも変化しない場合は「あれ?」という雰囲気になりますが、採用した仮説が外れていたことが分かっただけなので、すぐに違う方法に切り替えます。

 

演奏による前後比較は無駄な刺激を減らすことにも役立っているわけです。

 

音楽家の患者さんが病院などに行っても演奏を見て治療するところはなかなかありません。

 

実際に演奏して効果の前後比較ができる数少ない施設の一つが品川のカポスです。

 

この記事を書いた人

2016年、東京都練馬区の江古田にて音楽家専門の鍼灸治療院を始める。

2021年、東京都品川区の鍼灸院「はりきゅうルーム カポス」に移籍。音楽家専門の鍼灸を開拓し続ける。

はり師|きゅう師|アレクサンダー・テクニーク教師

 

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