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金管楽器のアンブシュア、タンギング不調の調整方法(3)

" 管楽器奏者のアンブシュア不調 "

2020年11月3日

管楽器で音を鳴らすために絶対に必要なもの、それは息です。

 

アンブシュアをどれだけ固く閉じても、舌をどれだけ強く突いても、そこに息の流れがなかったら音は鳴りません。

 

アンブシュアや舌でやるべき仕事は息の量、強さ、速さ(どのように表現するのであれ)とのバランスで決まります。

 

逆に言うと息の仕事が不十分だとアンブシュアや舌でそれを補おうとして無理をしやすいということです。

 

この無理から来るアンブシュア、タンギングの不調は息の問題をなんとかしないと本当には解決しません。

 

息の問題は一義的には肋骨と横隔膜ですが、横隔膜の下降にともなう内臓の行き場所として、また息を吐くときのサポートとして腹部の緊張をみることも大切です。

 

お腹の筋肉が固く張っているとまず息が入りづらいし、吐くときも最初から縮んでる筋肉にさらに力を入れなければならずあまり役に立ちません。

 

特に腹直筋に沿って緊張が強いと胸骨を下方向に固定するようにはたらくので上部肋骨の動きが制約され、首まわりの筋肉が余計に呼吸をサポートし始めます。

 

こうした無理が蓄積すると梅核気(ばいかくき)を始めとする喉の違和感、発声のしづらさ、舌根部がこわばる感じ、顎関節の痛みなどといった症状へつながります。

 

息を吐くという行為は肺の中の空気を上方向に押し出す圧を作ることに他なりません。

腹部が緊張していると背中も緊張しやすくなります。

 

そうしないと体の前面と後面でバランスが取れないからです。

 

前後で両方緊張させてもバランスは取れますが、それでは少ない息しか使えません。

 

たくさん吸ってたくさん吐けるためには一番大きくふくらんで一番小さく縮める必要があります。

 

そのためにはお腹の筋肉も背中の筋肉も最大限伸びたり縮んだりできなければならないのですね。

 

ところで、お腹の緊張と背中の緊張はとても興味深い相関があり、1つのツボで両方に効かせられるものが多くあることが分かっています。

 

そうしたツボが整動鍼『腹背編』で紹介されています。

 

もう1つ大切なのは脚です。

 

上の図で肺の中の空気を上方向に効率的に押し出すには股関節と胴体の関係性が重要なことが分かると思います。

 

息を吐くために最適な胴体は股関節の動きが調節できないとできません。

 

先に書いてきたお腹と背中の緊張はそもそも股関節が動かないために生じていることもあるほどです。

 

股関節の調整は整動鍼『四肢編』『脊柱編』です。

 

以上、3回に分けて金管楽器奏者のアンブシュア、タンギング不調の調整について書いてきました。

 

アンブシュアモーションの話がからんだため「金管楽器の」と限定しましたが、他の管楽器奏者や声楽についても共通することが多いです。

 

また現時点の考え方、方法なので今後また変わります。

 

特に今はまだ唇まわり、喉まわり、お腹と背中など個別ばらばらに対処してる感じが否めません。

 

主訴との関係性を見極めるためにあえて試すツボも多く、結果として無駄打ちが増えています。

 

これをもう少し「系」として体の状態を見れると最初から効果的なアプローチが取れる気がしており、まだまだ勉強と研究が必要です。

この記事を書いた人

2016年、東京都練馬区の江古田にて音楽家専門の鍼灸治療院を始める。

2021年、東京都品川区の鍼灸院「はりきゅうルーム カポス」に移籍。音楽家専門の鍼灸を開拓し続ける。

はり師|きゅう師|アレクサンダー・テクニーク教師

 

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