コントラバスで速い曲弾く時の左手
先日、プロのオーボエ奏者の方から「指はキーのそばである一定の距離のところにそわせるようにする」との話をうかがいました。
ご本人の意図とはちょっと離れるかも知れませんが、なるほど!と思ってさっそくコントラバスではどうなのか見てみました。
題材はベートーヴェン「交響曲第5番」で3楽章の速いところ。
1つ目はDr. モートンの動画で1:35から始まります。
見る限りあまり指を跳ね上げるようなことはしていません。
シンプルに指がただ弦の上にいるようにして弾いてます。
2つ目はベルリン・フィルのクラウス・シュトール。
5:30から同じ個所が始まります。
予想以上に派手な動きで驚きます。
これだけバタバタしてるように見えても弓がしっかり噛んで発音してるのでタイミングは合ってるのでしょう。
音の立ち上がりがクリアになるためには左手の運指が先にできていて、次いで右手の弓が弦をこする必要があります。
左手と右手の「同期」と呼ばれる問題ですが、速くなればなるほど、移弦が多くなればなるほど難易度が上がります。
例えば押さえている以外の指が弦から離れて浮くような癖があると(これは僕の例ですが)、離れた距離の分、弦までの到達時間が微妙に長くなります。
自分が頭の中で正確なテンポを思っていてそのテンポどおりに指に指示を送ったとしても、物理的距離の分、指が弦を止めるタイミングが遅れるんじゃないかと、そんなことを考えました。
ゆっくりの曲では目立ちませんが、速い曲では弓の方が先に弦をこすったりしてミス・トーンが多くなります。
別に指から弦までの距離がバラバラであってもそれ自体がだめではないのですが、それでもうまくやるには時間が精密に見えていて発音の前に必ず指が弦を止めている必要があります。
クラウス・シュトールのような人はかなり速いテンポでもタイミングがクリアに見えているのではないでしょうか。
そう思ってやってみると、実は遅いテンポでもけっこうあいまいに流してますね、自分。
頭の中のテンポ、そのテンポにしたがった指への動きの指示、極小の時間の中でも動きの順番を守り(左手→右手)、出てきた音を耳で聞いて、違ってたら補正して、最終的には聞こえるものと頭の中のものを同期させる作業。
僕の場合はまだタイミングが甘々にしか見えないので、弦から指までの距離を一定のところに置くよう気をつけた方が良さそうです。
やっぱりプロってすごい。
2016年、東京都練馬区の江古田にて音楽家専門の鍼灸治療院を始める。
2021年、東京都品川区の鍼灸院「はりきゅうルーム カポス」に移籍。音楽家専門の鍼灸を開拓し続ける。
はり師|きゅう師|アレクサンダー・テクニーク教師