コントラバスの傾けモーション
こんにちは!ハリ弟子です。
金管楽器のアンブシュア理論に、David Wilken氏のアンブシュア・モーションというものがあります。
Body Chanceのアレクサンダー・テクニーク教師でホルン奏者のバジルさんがブログで紹介し、各地のワークショップでも実地指導して効果を上げています。
これによると、金管楽器奏者は音域が変わる時に唇とマウスピースを上から下、または下から上のどちらかに動かしているが、歯の形に微妙に左右差があったりするので、実際には歯に沿った3次元上で、右下から左上、または左下から右上というような動きをとる、ようです。
さらに、人によって上が高音・下が低音だったり、上が低音・下が高音だったり、その人の解剖学的特徴に応じてタイプがあるので、自分のタイプを知って音域とアンブシュアを一致させていくと良いとされています。
この理論のいいところは、低音から高音までを一貫したリニアな動きの中に位置づけられることです。
多くの人が、音域ごとに複数のアンブシュアのセットを持っていて、切り替わりの音域が不安定になったり、応用がきかなくて苦戦するので、これは朗報でありましょう。
さて、コントラバスにおいても、左手の第4から第7ポジションあたりで構え方に困る人が多いと思います。
体格に恵まれた人はそれほど悩むこともないのかも知れませんが、ほとんどの人は楽器を直立させた状態では弾きづらいので、少し傾けて弾きます。
そうすると、この辺りを境にして、自分の立ち位置と楽器の傾け方のセットを変えて、それぞれに最適なモーションでないとうまく弾けないのです。
ハリ弟子もそうです。
これが、一貫したリニアな変化の中で全部対応できたらどんなにいいでしょう。
というわけで、考えてみました。
まず、立ち位置です。
どれがいいというわけではありません。
ハリ弟子の場合、G線メインの時はほぼ真横、D~E線メインの時は後ろ寄りになります。
2つのセットの切り替えがあるので、当然、高い音から駆け下りてきてのE線、またその逆は切り替えが間に合わなくてやりにくいです。
あとは、楽器を傾ける方向があります。
理屈の上では、エンドピンの位置を起点にして、楽器の真横から真後ろ方向(図中の赤い矢印)の間のどこかに傾けることになります。
多くの教本は、お手本となる構え方の写真を真正面から撮るので、後ろ側にどのくらい傾けているか分かりにくいです。
2次元の写真の印象で、真横に傾けなければ!と思ってしまうとバランス的には少し不利になるかも知れません。
また、真後ろも楽器が回転して安定しません。
だいたい、黄色の矢印の方向くらいな感じがしますが、これもハリ弟子の場合なので人それぞれだと思います。
ちなみにこの写真を撮った時はほぼ真横に傾けましたが、やはり弾きづらかったです。
ハリ弟子がついているコントラバスの先生とも話したのですが、手を離して前にも後ろにも倒れないような傾け方が一番負担が少ないのではないかとのことでした。
こうすると左手の運指は大変スムーズにできるようになります。
右手の運弓は、G線かE線か先か元かなど様々な状況がありますが、右手が動かしやすいような楽器との関係性は傾けることでかなり解決できそうな気がします。
さらに、その傾け方は楽器が前にも後ろにも倒れないという条件を守りながらやっていくと、もしかしたら、一貫したリニアな動きの中で低音から高音までカバーできる構え方が完成するかも知れません。
今、そんな仮説をもって取り組んでみています。
2016年、東京都練馬区の江古田にて音楽家専門の鍼灸治療院を始める。
2021年、東京都品川区の鍼灸院「はりきゅうルーム カポス」に移籍。音楽家専門の鍼灸を開拓し続ける。
はり師|きゅう師|アレクサンダー・テクニーク教師