腕(その8)
(こちらの記事は、2016年11月まで運用していた旧bodytuneサイトのブログ記事を転載したものです)
今日は関東でも春一番が吹きました。なんだか生暖かい変な天気で体もついていくのが大変です。陽気に合わせて肌が開いたところに寒さのぶり返しが来ると一発で風邪をひきますので着るものには要注意ですね。
さて、今日は手の中の筋肉に入っていきますが、その前に骨格を復習いたします。
リンク先の図は左手を手のひら側から見たところです。左側が親指、右側が小指になっています。手首のところには8つの手根骨があり、これはさらに4つずつの2グループに分かれて手首の掌屈、背屈のときに役立っています。その先には5つの中手骨がのびており、さらにその先に基節骨、中節骨、末節骨がつきます。ただし親指だけは中節骨がありません。中手骨の可動性は中指はほとんどなく、人差し指、薬指、小指の順に動ける量が増えてきます。親指に関してはほとんど自由自在です。なので、手をめいいっぱいパーの形に広げたとき親指は手根中手関節のところ、それ以外の指は中手指節関節のところから曲がります。自分の手をグーパーグーパーとやると小指が折れ曲がるところと親指が動く場所違うことが分かると思います。
これに筋肉をのせます。
手をパーの形に広げたとき、小指側では小指外転筋が働きます。これらは手根骨から始まって各基節骨に終わりますので手の中で動きが完結する筋肉です。
親指の側にも短母指外転筋という似た名前の筋肉がありますが、こちらはちょっと違う動きをします。まず、手でキツネの形を作ってみてください。人差し指と小指を立てて、中指、薬指と親指をくっつけるあの形です。キツネの口を開けるときに主に動くのは中指、薬指だと思いますがそれをあえて親指側で開けるでしょうか。難しい場合には中指、薬指を伸ばして(中手指節関節を伸ばして)、そうすると親指の先端がずれて中指、薬指の付け根の股あたりに来ますが、この状態でならやりやすいと思います。このとき親指を根元からパカっと開くのが短母指外転筋です。他の4つの指から離れる方向への動きといえばいいでしょうか。
小指外転筋(☆マークがついている筋肉)
次は親指と小指をくっつけてみましょう。このとき、親指側では母指対立筋と母指内転筋が、小指側では小指対立筋が働いています。親指の側で中手指節関節も曲がっていたら、短母指屈筋も働いているかも知れません。
続けて人差し指から小指に働く筋肉です。3つの筋肉がありますが、作用は開く、閉じる、曲げるです。
手をパーの形に開くのは背側骨間筋、それをピタッと閉じるのが掌側骨間筋で、各指を中手指節関節のところで曲げるのが虫様筋です。ただし、虫様筋にはやや複雑なしかけが施されており、中手指節関節のところを曲げると同時にその先の基節骨・中節骨や中節骨・末節骨の関節を伸ばしてしまう作用があります。ピアノを打鍵したときに指が中折れするとかあんな状態を思い浮かべてください。
昨日から話題にしている手首を固めずに指を自由に動かすためには、今あげたような手の中の筋肉と前腕・上腕からきている筋肉を整理すると解決のヒントが見つかるかも知れません。
例えばコントラバスのジャーマン式の人が弓を持つときに親指をもっぱら長母指屈筋で曲げていたらより手首を固めるリスクが高いように思います。母指内転筋や対立筋を上手に使いながら同じ動作を行えば手首の力はかなり抜けるのではないでしょうか。
左手の運指についても、浅指屈筋や深指屈筋のような長い筋肉でやろうとするよりも虫様筋メインで中手指節関節をパタパタした方が速く細かい動きはやりやすいかも知れません。ただしその際、浅指屈筋、深指屈筋もある程度オンになっていないと中折れのリスクがあるので、各筋肉が協調して動く絶妙なところがあるように思います。
長らく腕について考えてまいりましたが、これで終了です。次回からはまた別なコーナーに入ります。
最後までお読みいただきどうもありがとうございます。
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2016年、東京都練馬区の江古田にて音楽家専門の鍼灸治療院を始める。
2021年、東京都品川区の鍼灸院「はりきゅうルーム カポス」に移籍。音楽家専門の鍼灸を開拓し続ける。
はり師|きゅう師|アレクサンダー・テクニーク教師
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