治療以上、演奏家復帰未満のケアの必要性
こんにちは!ハリ弟子です。
現在の鍼灸は誰を相手にすべきかシリーズ、今日が最後です。
スポーツの分野ではケガから復帰する際、メディカル・リハとアスレチック・リハと2つのリハビリ・プロセスがあります。
簡単に言ってしまうと、メディカル・リハは日常生活に支障ないレベルまで回復させるのが目的で保険証提示して受けられるもの、アスレチック・リハはそこからさらに競技復帰レベルまで回復させるもので費用は実費負担になります。
メディカル・リハとアスレチック・リハ、本当は分ける必要はないのですが、公金が投入されている保険医療は制度全体の一貫性や公平性を担保する必要があり、日常生活レベルまでしか対応できないのです。
そのためプロのスポーツ選手など、競技復帰レベルまでの回復には親会社や個人の負担で別途特別なリハビリをしていて、それがアスレチック・リハと呼ばれるようになっています。
思うに音楽家の場合はメディカル・リハから演奏復帰レベルの間がすぽっと抜けているのではないでしょうか。
知人のビオラ奏者で交通事故で肩を打ってしまい、整形外科の治療で治りはしたものの演奏面では1年くらい不具合を感じている方がいました。
その方は自分で気づいて専門のリハビリ施設を探し、自己負担で追加のリハビリをすることで克服しました。
メディカル・リハが日常生活レベルまでであるとの認識がないままに、病院で治ったと言われてすぐ演奏復帰し、その後の長年にわたる不調の遠因を作ってしまう方は実は多いのではないかと思います。
鍼灸の治療院はもともと自由診療が普通の業態ですから、個々のケガの状態から楽器ごとの特性に応じて1人1人に合ったやり方をしやすく、こういった「医療以上、演奏家復帰未満」のところに対応しやすいと言えます。
bodytuneもこの部分に特化していくことを選びました。
もちろん、専門に特化した高度なスキルと経験が必要とされることは言うまでもありません。
技術が育つまでには時間がかかることもありますが、一般的には珍しい症状でも、そればかりを大勢診ていたらより速い速度で成長できます。
なので音楽家の体に関しては、一般的な治療院、整骨院あるいは病院などと比べて圧倒的にとまでは言いませんが、そこそこ優位なレベルには技術が育ってきていると思います。
経営的なことをさらに突っ込むと、こういった専門性をいくつか持てるとさらに良いのでしょうが、なにぶんやってるのはハリ弟子1人ですし、今は音楽家向けの鍼灸とアレクサンダー・テクニークに集中しています。
現在の鍼灸は誰を相手にすべきか、ここ数日にわたり考えてきましたが、まだ正解はありません。
今のところの考えを整理してみました。
2016年、東京都練馬区の江古田にて音楽家専門の鍼灸治療院を始める。
2021年、東京都品川区の鍼灸院「はりきゅうルーム カポス」に移籍。音楽家専門の鍼灸を開拓し続ける。
はり師|きゅう師|アレクサンダー・テクニーク教師