鍼灸は養生向き、は本当か?
こんにちは!ハリ弟子です。
現在の鍼灸が誰を相手にすべきか問題、昨日は保険医療の中で環境負荷まで含めた総体コストが鍼灸の方が安い分野を考えました。
研究によって効果が実証される必要がありますが、長い目で見れば可能性なくもないと思います。
今日は別の視点から考えてみます。
養生です。
鍼灸は『治未病(ちみびょう)』の医学と言われます。
病気になる前に治すのが理想という意味です。
なので養生のために鍼灸を受けるという考え方はまあまあ合っています。
実際、特にきわだった不調がなくても定期的に鍼灸に通う方はいらっしゃいます。
いわゆる名人鍼灸師のところでも、3回以上来てくれる患者さんは2割程度と聞いたことがあり、この2割のうちのいくらかが養生目的と考えられるでしょう。
母集団の人数が全然違いますが、ハリ弟子のところでもまあまあこのくらいという印象です。
ただ、一般的には養生というと健康のために自分で日常的にできる何か小さな取り組みというイメージがあります。
体が冷えたら足湯するとか、目が疲れたらレンジでチンした蒸しタオル載せて休めるとか、自宅でできる台座灸をすえるとか、、
何か大病を患って本当に健康に気をつけるようになった人なら別ですが、1回数千円かかる鍼灸治療は一般に考える養生としては高額ではないでしょうか。
ならばということで、10分~20分くらいで千円程度のメニューを作ってもいいのですが、いくら安く短時間でも、わざわざ治療院に足を運ぶでしょうか。
養生は簡単に続けられるものでないといけません。
その路線で行くなら駅ナカのリラクセーション・サロンみたいなところに鍼灸師を置くのが正解です。
こう考えると、養生目的で定期的に治療院に通う人が多くても2割程度というのは立派な理由があるわけで、この数字をこれより上げようとするのは努力の方向がずれてくる気がします。
次回は、難病と鍼灸について考えます。
2016年、東京都練馬区の江古田にて音楽家専門の鍼灸治療院を始める。
2021年、東京都品川区の鍼灸院「はりきゅうルーム カポス」に移籍。音楽家専門の鍼灸を開拓し続ける。
はり師|きゅう師|アレクサンダー・テクニーク教師