トランペット
来院者
男性 20代 トランペット
期間
2019年4月
症状
フリーランスのトランペット奏者。
緊張すると腰が反って背中が張り疲れる(ただし腰痛には至らない)。その状態で吹き続けることでブレスや音にも影響が出ると考えており改善したい。
また右肩に時折しびれが出る。
施術と経過
実際に楽器を吹いてもらったところ、腰が反り気味で胸郭を後ろに倒し肩甲骨を後ろに引き気味にしていた。
肩甲骨が後ろに引かれると鎖骨と上部肋骨の間がせばまり、腕に行く神経を圧迫しやすい。
背中、特に腰部の緊張を取り、胸椎と肩甲骨の動きをうながすツボを中心に施術してからあらためて吹いてもらうと呼吸がスムーズになったとの感想を得た。
あわせて、アレクサンダー・テクニークのアドバイスで腰部を意図的に屈曲し本人の感覚的には猫背に思えるくらいの姿勢をうながしたら腕がさらに楽になり、肋骨が活発に動き出したことが自覚できた。
体は全身がつながりながら動いている。今回のケースでは腰が反ることと呼吸や右肩のしびれをひとつながりの問題として捉えることができた。鍼灸とアレクサンダー・テクニークを合わせることで背中の張りを解消し、腕が自由に動かせて、呼吸も楽になることにつながった。
使用したツボ
合谷R、尺沢R、T3夾脊L、筋縮、大腸兪L・R、合陽L、飛揚L・R
来院者
男性 20代 トランペット
期間
2019年4月
症状
音大卒業してフリーランスで活動するトランペット奏者の方。
数か月前に急きょプロオーケストラの本番にエキストラで入った。数日で準備してGP、本番に対応しなければならず極度の緊張から腰が痛くなった。
その後も楽器を構えて吹いていると腰が重くなる感じがある。
演奏時に反り腰になる癖を自覚していて、腰だけでなく背中にも違和感を感じる。
施術と経過
背中の違和感は呼吸と密接にかかわる。トランペット奏者への施術という意味で呼吸まで見据えた組み立てを考えた。
なぜなら腰が痛むとそれより上の脊椎の動きが制限されて、背中の違和感につながることが多いからである。逆に首や腕や肩から背中の違和感を生じている可能性もあり施術の中でこの線も確認するようにした。
まず腰痛について、触診すると腰痛と関係の深いふくらはぎのツボに反応が見られた。さらに首の動きにも若干の制限を認めたのでこれを改善する手のツボに鍼をし、最終的に脊椎のツボをつかって背中の違和感の現場にも対応した。
施術後、腰の重い感じが消え、声が出しやすくなったとの感想を得た。
呼吸が改善すると声が変わるので、楽器がなくても便宜的に確認ができる。
使用したツボ
合谷、T3夾脊L、T5夾脊L、飛揚L・R
来院者
男性 30代 トランペット
期間
2016年12月
症状
数か月前から右肩に違和感があり、右腕を上げづらい状態が続いている。胸鎖関節にごりごりとした違和感があり、ひどい時には腕を肩の高さくらいまでしか上げられず無理に上げようとすると痛む。楽器の構えにも影響があり、左右で高さがずれるので右を肩ごと引き上げるなどして対応しているが、リハーサルが長時間になると背中から腰、ひどいと足にまで痛みが出る。
施術と経過
来院した時点で比較的自由に腕を上げられる状態で(耳の付近まで上げられる)、肩甲上腕関節周囲の痛み、腫れや熱感もなかったため、いわゆる五十肩の可能性は暫定的に除外。そのうえで、楽器をかまえる体勢をとってもらったところ、やはり右肩を上げて左右のバランスを取ろうとする動きが見て取れた。
おそらくであるが、何らかの原因により数か月前に右の胸鎖関節に痛みを生じたのが始まりで、その痛みが出ないようにする代償動作を取るようになった。しばらくそうした動きを継続すると体は自然にその動作を覚えてしまう。ある程度痛みがおさまってその必要性がうすれても代償動作を取り続けてしまうことはよくあり、現在の背中、腰や足の痛みは代償動作によりかえって体を固めてしまった結果の可能性がある。
以上のように考えて、痛みを生じないよう細心の注意をはらいながら繊細に他動運動を行うことで現在の腕の可動性を再認識してもらい、鍼では脊椎と腰部へアプローチして筋肉のこりを解消するよう努めた。
治療後、再度楽器をかまえる動きをとってもらったところ、左右の高さがそろい無理に右肩を上げる動きはなくなった。
使用したツボ
肝兪、腎兪、C7夾脊