アンブシュア・舌の違和感
こんな症状がある方に
以前は吹けていたのに以下のような症状で吹きづらい、または吹けない。いくら練習しても回復しない。
- 唇や下あごがふるえたり、口角が下がって息がもれたりする
- 特定の音域でアンブシュアの力加減が不安定になり音が鳴らない
- 吹いているうちに舌がこわばってくる
- タンギングしようとすると舌で息を止めてしまう
- どうしても顎に力が入ってリードを噛んでしまう
- 喉が詰まって吹けなくなる
アンブシュア・舌の違和感は原因の特定が難しい
病院では唇や舌の筋肉に特に問題がなければ、脳血管障害や顔面神経麻痺などが疑われ検査を受けることになるでしょう。顔面や舌の問題はときに命にかかわる疾患のサインである可能性がありますので、病院の受診をおすすめします。
そのうえで、検査で異常がなく楽器演奏でだけ症状があらわれる場合があります。上記のようなはっきりと診断がつく疾患の場合、会話や飲食などの日常動作にもなんらかの影響が出るものと考えられます(病気の進行具合にもよりますが)。そのため音楽家に特有の演奏にまつわるアンブシュア・舌の違和感は判断が難しく、スランプや不調、精神的な問題と言われてしまうこともあるようです。
あるいはフォーカル・ディストニアの一種であるアンブシュア・ディストニアと診断されることもあるでしょう。しかしフォーカル・ディストニア自体、他の疾患の可能性をすべて除外して最後に残る、原因不明の動作の障害として診断されることが多いようです。
結局のところ原因の特定は難しく治療法も決め手に欠けるのが現状です。
アンブシュア・舌の違和感に対する鍼灸
表情筋/舌とほかの筋肉の違い
体を動かす筋肉の大半は骨に付着して骨格を動かします。そういう筋肉は骨が支えになって力を発揮します。
しかしアンブシュアをつくる表情筋は皮筋といって皮膚に付着します(顔の骨から始まり皮膚に終わるものが多い)。皮膚は動きます。支えが動いてはぐあいが悪いので皮膚を固定しておく必要があります。そのため複数の筋肉が引っ張り合うことで皮膚上に支えを作っています。この支えがよりどころになって唇を引いたり寄せたりすることができるのです。つまりアンブシュアをコントロールするためには筋肉の引き合う力=張力のバランスが重要と考えられます。
舌についても考えてみましょう。舌は下顎骨の内側で舌骨に乗っかるようにおさまっています。舌骨は他の骨につながっておらず、筋肉の張力バランスにより喉のあたりで浮いています。舌骨の下には甲状軟骨(のど仏)がありこれもまた筋肉の張力バランスにより上がったり下がったり動きます。つまり舌も張力の影響を受けて位置を固定したり動いたりすると言えます。
このように表情筋や舌は骨から独立したところで張力バランスの中に浮きながら作用する特徴があります。
過度の筋緊張が張力バランスを崩す
アンブシュアや舌に近いところで硬い緊張があったらどうなるでしょうか?
緊張のあるところに皮膚や筋肉が引っ張られてバランスが崩れます。引っ張られたら引っ張り返すことでバランスを取り直すのですぐに吹けなくなることはありません。が、これが常態化すると引っ張り返す方にも過度の筋緊張ができやすくなります。このようなことが連鎖的に起こるとどこかで限界を超えて深刻な不調になると考えられます。
実際のところアンブシュアや舌(タンギング)の問題でいらした方には顎関節症、歯ぎしり・噛みしめ、喉のつまり感(声が枯れやすいなど)といった症状も多い印象があります。また性格的に緊張しやすい自覚がある人もいます。
息との関係
また息との関係も忘れてはいけません。管楽器の音が鳴る仕組みにおいて息の要素はきわめて重要だからです。
なんらかの理由で息が不足するとアンブシュアを強めに締めたり舌を強めに突いたりして、息の不足を補いはじめます。喉を強めに締めることもあります。この場合、問題の根っこは息にあります。
しかし音が鳴らないくらい深刻な不調では問題が息なのかアンブシュアなのか舌なのか喉なのか、整理がとても難しい。施術においてもあらゆる可能性を考慮して全体として状態を改善していく必要があります。
しらべの施術でやること
鍼は筋肉の調整をするのが得意です。
施術では顔面、顎関節、下顎骨の内側、首の筋肉の状態をていねいに確認し、そして緊張の強いところをゆるめて全体としてうまく機能するよう張力バランスを回復します。
緊張の強いところならどれをゆるめてもいいわけではありません。楽器を持参いただいて鍼1本ごとに前後比較します。そうすることでどの筋緊張が症状と関係しているのか特定していきます。初回でうまく当たることもあれば2回目、3回目で当たることもあります。そのためアンブシュア・舌の違和感に関しては効果の有無を判断するのに3~5回の通院をお願いしています。
症状のある顔に鍼をすると思われがちですがそこには鍼をしません。顔面や首の緊張をゆるめるツボは主に手足にあります。また不随して顎関節症、歯ぎしり・噛みしめ、喉のつまり感などの症状がある場合にはこれらに対するツボも使います。いずれにせよ手足や背中のツボを使うので顔に鍼をすることはありません。
アンブシュア・舌の違和感の症例
しらべで実際に施術したアンブシュア・舌の違和感に関する症例です。一部をご紹介します。
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