タオルをしぼる動作で親指の付け根が痛い
症状
愛好家のハープ奏者の方。1年程前にハープのハーモニクス奏法を練習していて左手親指の付け根に痛みが走った。ハーモニクスとは母指球や手のひらの手首寄りの部分を弦に当てたまま同じ手の親指または人差し指で弾く奏法である(左手の場合)。整形外科を受診したところ「腱鞘炎」と告げられた。なるべく左手を使わないように気をつけていたらそのうちに寛解したが、新型コロナウイルスの影響で家族が在宅になり家事負担が増えたことで再度発症した。特にフライパンを使って料理する時に痛みがあり、ハープの練習にも支障がある。また慢性的に首肩がこっていて、来院時は無痛だったがたまに腰も痛む。
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来院者
女性
60 代
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期間
2020年3月 -
頻度
1回通院 -
通院回数
1回
施術と経過
痛みの出る動作を詳しくうかがうとタオルをしぼる動作で痛みが再現された。左前腕の回内・回外がやりづらく特に回内動作で「ピキッと」くる。また痛むのは左親指第2関節(MP関節)から手首にかけての橈側であることが分かった。
慢性的な首肩こりがあることから頚部から肩背部にかけて触れて確認すると、左後頚部から肩にかけて強い緊張が認められた。また脊椎の左右で硬さを比較すると左側の硬さが目立ち、さらに手の冷えと左肩前面の筋張りを確認した。
まず脊椎のツボに鍼をしてタオルしぼりをしてもらうと左前腕回内+手首伸展の動きで痛みが消失した。次に別の脊椎のツボに鍼をして再度タオルしぼりをしてもらうと今度は左前腕回外+手首屈曲の動きも楽になった。
来院時に特に自覚症状はなかったが肩の動きに制限があるままだと指の痛みも再発しやすい。そのため手や脚のツボに鍼をして肩周りの緊張をやわらげた。「首肩こりもだいぶ楽になった」とコメントをいただき施術終了とした。
使用したツボ
まとめ
指先の動きであっても体幹の脊椎が適切なタイミングで適切な量の支持性を発揮する必要がある。しかし常時支持性を発揮したままだと動きの制約になるので可動性を取り戻せることも重要である。本例では過去の動作で必要とした支持性が残ったままになっていて、それがかえって指の痛みを生んでいた。そのため脊椎の可動性を回復すれば痛みを解消できると考えて施術した。