ピアニストの腱鞘炎
来院者
男性 20代 ピアノ
期間
2017年9月
症状
左手に負担がかかるプログラムの準備をしていて、左の指が動かしづらくなってきた。
特に、親指が内転したまま開けなくなることがたまに起こるようになった。
整形外科では腱鞘炎と診断され、薬も処方されたが、早く改善したいので来院した。
施術と経過
左肩に著明な硬結があり、左腰部にも強い張りがあった。
また、前腕の伸筋も強く張っている。
左手にかたよった使い方をしていたために、全身の筋トーンがバランスを崩してしまった状態と考えられた。
筋肉はある一定の限度を超えて使うと、疲労がたまってそれ以上動かせなくなる。
筋トーンのバランスがかたよった状態でさらに左手を使い続けると、通常以上に早く疲労し、ある一定の限度も早く訪れる。
今回は、それが左の親指に表れたものと想定した。
まず、全身の代謝をよくするために、伝統的な鍼灸の証にしたがってツボを使った。
次に、アレクサンダー・テクニークのテーブル・ワーク的な手技を用いて、全身の筋トーンのバランスを調整した。
施術後に、実際のピアノの動きを模して5分ほど左手を動かしてもらったが、親指が内転したまま開けなくなる症状は現れなくなった。
弾きながら、筋トーンのバランスの崩れに気づいてうまく散らせられるようになると、もっと長時間の演奏にも耐えられ、故障しにくくなると思われる。
使用したツボ
中脘、天枢、関元、肝兪、腎兪、曲池